「……あ、でも」
なにか思い立ったように目を上げたさーちゃんが、またにっこり笑った。
「一度、澄田のところには行かせてもらうからね」
「え! なにしに!?」
「そりゃ、決まってるでしょ、大事なチィをよろしく頼みに」
なにを、どんなふうに、よろしく頼むのですか。
さーちゃんはいつも笑顔でコワイことばかり言う。
「いや、あの、わたしのことはおかまいなく……」
「チィはなにも心配しなくていいの。そうしないとわたしの気が済まないだけだから」
「ええ……」
これはあとから先生にさんざんシボられそうだ。
いや、シボられるで済めばいいけど、たぶんそれだけじゃ終わらない。
そもそもさーちゃんにいろいろバレてしまったことがわかったら、わたし、学校にさえいられなくなってしまうのでは?
「ところで上杉先輩にはなにも言わないつもりなの?」
さーちゃんが思い出したように、唐突に言った。
「え……とーご先輩?」
「……ま、なにもわかってないならそれでいいんだけど」
「えっ」
「はあ。おばかって本当に罪」
「ええっ」
自分のことをバカだと思う瞬間は多々あるので、それに関してはなにも抗議できない。
できない、けど。なんともいえない……!
「でもそれがチィのいちばんの魅力だもんね」
――噂をすればなんとやら、
とーご先輩から連絡があったのは、ちょうどその日の夜のことだった。



