詳しく教えろこの野郎。
という表情を、目の前で頬杖を突いた藤沢さやかサマが浮かべておられる。
先生、誰にも言わないという約束を、早くも破ってしまいそうです。
さーちゃんの無言の圧力は本当に怖いのです。
「――二重人格、ねえ……」
おかわりし放題のカフェオレはもう何杯目になるだろう。
店員さんの目がそろそろ気になってきたけれど、さーちゃんはそんなのおかまいなしで、もう一杯追加した。
「絶対に澄田はなにかあると思ってた。だいたい胡散臭いんだって、あいつ、わたしは何回も言ってたでしょ」
「で、でも、だからものすごい悪人ってわけでも……」
「盲目」
「う……」
それを言われてしまったらおしまいだ。
恋に盲目なことは、こんなわたしでもかなり自覚がある。
「大事にはしてもらってるんでしょうね」
「え……」
「手は? 出されてない?」
「う……うん」
「それならよかった」
さーちゃんのこういうところが好きなんだ。
クールでドライに見えて、本当は常に人のことを気遣っていて、心配したり、気にかけたりしてくれるところ。
安心したように笑ってカフェオレに口をつけるさーちゃんと友達になれてよかったなあと、改めて思う。
さーちゃんは絶対に、先生の秘密をほかの誰かにべらべらしゃべったりしない人だ。
だから、わたしも、安心して伝えることができたんだ。
信じられる。



