純情、恋情、にぶんのいち!





先生との関係がとても深まったような気がするクリスマス。

帰宅するなり、妹の万幸にはいろいろと詮索されたけれど、期待するようなことはなにもなかったと言うと、つまらなさそうにされてしまった。


そうしているうちにあっというまに年が明け、3学期の幕開けです。


「――ところでチィ、あのあと上杉先輩とはどうなったの?」


言葉とは裏腹に、さーちゃんは、まったく興味がなさそうなトーンでそう問うた。


「えっ……とーご先輩!?」

「……なにもなかったのね」


あのあと、の、“あの”がクリスマスイブを指しているという事実さえ、よく考えないと思い出せなかったことに、自分でも恥ずかしくなってしまう。


「あ……実は、あれからすぐ解散しちゃって……」

「え、そうなの。どうして?」


バカ正直に、ヨウ先生に会いに行っていたからです、とは口が裂けても言えない。

そもそも、さーちゃんが過去のことを改めて聞いてくるのって、なんだかちょっとめずらしい。


「さーちゃんこそ、もしかしてヤス先輩となにかあった?」

「…………」

「え! なにその沈黙、も、も、もしかして……」

「べつになにもないから」


学校帰りにこうしてさーちゃんとしゃべるのはけっこう久しぶりだ。

きょうは始業式で、早帰りだから、先生のところには行かないで、100円セールをしているドーナツをふたりで食べに来た。