「先生、いまから言うことは、脅迫じゃないです」
こんな真冬だというのに手のひらに汗をかいている。
体じゅうに熱がこもっている。
もう、やけどしそうなくらいのこの熱さを、体内に抱え続けているのはむずかしいよ。
「できれば、16歳のコムスメを、26歳の男の人の、恋人にしてください」
本気で気持ちをぶつけたら、本気で振られてしまう。
もう二度と化学準備室には行けないと思うし、眼鏡なしのヨウ先生にも会えなくなるだろう。
それでも、もう、宙ぶらりんではいたくない。
わたしは先生を脅迫したかったわけじゃなく、好きな人に、好きだと伝えたかっただけなのだ。
「いいよ」
予想と真逆の返事をされたせいで、なにを言われているのか、しばらくのあいだわからなかった。



