純情、恋情、にぶんのいち!



おもむろに、膝の上に置いたままの冊子に指をかける。

めくるとペリペリかわいい音がした。
少しの年季を感じる音。


「……うわあ、かわいいー!」


6年2組。
そのページの真ん中あたり、こっちに笑顔をむけてくれている少年。

春から鍛えられてきた、どんなに遠くからでもヨウ先生を見つけられるわたしの目は、その年齢が変わろうとどうやら健在らしい。

一瞬で見つけられた。面影が少しだけある。
でも、かっこいいというより、かわいい感じがする。


「どんな少年時代だったんですか?」


周りのクラスメートや、ほかのクラスのページにも目を落としながら訊ねると、先生が身を寄せてきた。

アルバムを覗きこんでいる。
懐かしそうに細めている目が、なんだか意外だった。


「小学生のころはけっこう人並みに遊んでたよ。俺とあいつの中間くらいの人格だったと思う」

「……このころは、まだ、先生はひとりだけだったんですか?」

「そうだな」


言いながら、次に手渡されたのは中学の卒業アルバム。

3年1組にいた澄田陽平くんは、黒い学生服の詰襟がよく似合う、とてもまじめそうな学生だった。

いまより長い黒髪が似合っている。

小学校のときの写真と、かなり印象が変わっている。


「あれはダメだ、これはダメだと、やることなすこと全部を否定され続けた結果、中2の秋あたりから父親と上手くいかなくなって、少しずつ人格が離れていった。このころから、俺にとっては他人のモンみたいな思い出もあるし」

「……それは、眼鏡ありの先生の記憶ですか?」


先生は、うなずきもしないし、かぶりも振らない。
そうだとも、そうじゃないとも言わない。

ただゆっくりと目を伏せ、あまりそうしたくなさそうに、口を開いた。