「じゃあ、先生が教師になったのは、きっとお父さんの影響なんですね」
「まあ、よく言えば、そうかもな」
「“悪く”言えば違うんですか?」
「俺にそれ以外の選択肢が与えられなかったから」
その答えを聞いて、考えなしに訊ねてしまったことを少しだけ後悔する。
だってあまりポジティブな言い方ではないと思ったんだ。
思わず横顔を見やる。
先生は、果てしなくなんでもなさそうにテーブルへ手を伸ばすと、いちばん上の冊子を手に取ってこちらに差し出した。
小学校の卒業アルバム。
比較的きれいな状態だ。日焼けや色褪せなんかはぜんぜん見られない。
「……ところで先生って何歳なんですか?」
ぽん、と頭のなかに浮かんでしまった疑問をぶつける。
それを聞くなり、何事にもあまり動じない目が、本当にまん丸になってわたしを見つめた。
いまさらなに言ってんだ?という顔。
わたし、いまさらなに言ってんだ?
「逆におまえは、相手が何歳だと思ってフラフラ近寄ってきたんだ」
ほとほと呆れたというような、それでいて気難しい表情をしてそう言った先生を、今度はわたしのほうがまじまじと見てみる。



