純情、恋情、にぶんのいち!




いっしょに朝食の片づけをしたあと、先生が両手に抱えてソファまで持ってきてくれたのは、小学校から高校までの卒業アルバムだった。


「ほかのは実家に置いてきたから、これだけだな」


言いながら、テーブルの上に分厚い冊子をドサドサ積み上げていく。
これだけ、あればじゅうぶんなのでは?


「先生の実家……」

「静岡のド田舎だよ」


あまりド田舎という感じのしない、洗練されたヨウ先生のうしろに、彼の生まれ育ったおうちを想像してみた。

でもぜんぜんできない。
なぜかわからないけど、なんだか先生からは“家庭”のにおいがしない。

それとも、それは、わたしが学校の生徒としてヨウ先生と出会ってしまったせいかもしれない。


「マイペースな母親と、厳格な教師の父親。あとは、良くも悪くも奔放な弟がいる」


アルバムに手をつける前に、先生はゆっくりしゃべった。

質問せずとも自分について語ってくれるというのははじめてで、すこし驚いた。


同時にほっとする。

先生にも、生まれ育った家があって、家族がいるのだという当たり前の事実を、ちゃんと持っているんだ。

弟さんがいるのはちょっと意外だ。