「……わ、たし……ですか」
「おまえのほかに誰がいる?」
こちらからすればむしろ、あなたは誰、という感じなのですが。
「おまえ、クラスと名前は?」
「……え、と」
「さっさと答えろ」
「は、はい! 1年B組、野村千笑、ですっ」
「……なるほど。神田先生のクラスか」
ふん、と、鼻を鳴らすみたいにヨウ先生が笑った。
その、悪魔のような笑みを見ていたら、背中がゾクゾクした。
嫌なゾクゾク。インフルエンザにかかったときよりもタチの悪い寒気。
「信じられねえって顔だな」
「あ、あたっ、当たり前です! ほんとに……ほんとに、あのヨウ先生……?」
「よく見ろよ。正真正銘、澄田陽平だろうが」
たしかに、どこも違わず、見た目はヨウ先生そのものだけれど。
遺伝子の突然変異?
それともいわゆる、裏の顔というやつ?
もしかして、これから毎日ずっと、このヨウ先生なの……?
「――二重人格、って言葉は知ってるか?」
「え……」
に じ ゅ う じ ん か く ?
「……って、漫画とかドラマとかで見る……あの?」
「そうだ、その、だ」
これまで夕日を遮っていたカーテンがさわさわと揺れ、ヨウ先生のきれいな顔をオレンジ色に照らしていく。



