純情、恋情、にぶんのいち!



「ところでおまえ、きょうはどうしたいわけ?」

「えっ」


ダイニングテーブルに向き合って座り、パンにかじりついていると、先生が出し抜けにそう訊ねた。


「こんな休みの日、誰がどこにいるかわかったもんじゃねえし、あんまり近場は連れて行ってやれないけど」

「え……どこか、連れてってくれる、ですか」

「このまま帰るなら、俺はそれでも」

「っやだ帰らない!」


でも、だって、まさか先生のほうからそんなふうに言ってくれるなんて、夢にも思っていなかったから。

起きてから、いや、きのうからずっと、夢みたいな出来事ばかりで、本当にわたしだけ夢のなかに置いてけぼりになっているんじゃないのかと不安にさえなる。

それともこれが聖なる夜の持つ不思議パワーなの?


「じゃあ、じゃあ、夢の国のテーマパークとか……」

「寝言は寝て言えよ」


いまのはさすがにわたしも冗談だったけど。


学校の誰かに会ってしまうようなリスクも含め、改めて考えてみたら、いまのわたしに行きたいところなんてなかった。


しいて言うなら、どこだっていい。

先生が隣にいてくれるなら、それだけで、全部の場所が天国より極上のユートピアになるから。


「あの、それならきょうは、一日中先生のおうちにいてもいいですか?」

「安上がりなやつだな」

「先生と過ごせるだけでいいんですー!」


安上がり、と、もういちど言って、先生は笑った。

たくさん笑ってくれて、うれしい。


「……先生」

「なんだ?」

「わたし、もっと、もっと、先生のこと知りたい……です」