小さなハートはシルバーの輝き。
真ん中に赤い石が埋まったそれを持って、完璧な寝起き姿なのもすっかり忘れて、一目散にリビングを目指した。
ドアを開けた瞬間、香ばしいコーヒーのにおいが鼻の奥をくすぐる。
「先生っ」
「ああ、おはよう」
「お、おは、おはようございますっ」
「朝から元気だな」
カウンターキッチンの内側に立ったままモーニングコーヒーを飲む先生は、朝から神々しいほどのかっこよさ。
思わず見とれてしまう。
その姿は、学校で会う先生とはまるで別人な気がした。
眼鏡のある・なしはきっと関係ない。
ふとした表情や仕草、身にまとっている雰囲気。
……ああ、わたしやっぱり、まだ夢を見ているのかも。
「……寝ぼけてんのか?」
「えっ」
「なに突っ立ってんだよ」
「あ、えっと、」
「コーヒーでいいか」
「あっ、はい!」
マグカップに注がれる熱湯が上げる、白いもやのむこうに、先生の姿がかすんでしまった。
もっと、見たい。
近づきたい。
ぜんぜん足りない。



