ふざけるな、
と、低い声が鼓膜をノックした。
「そんな小せえ声で、腕も震えて、ガッチガチに緊張してるようなクソガキが、大人にむかってでけえ口叩いてんなよ」
「どうしてそんないじわる言うの、」
「……ほんと、頼むから勘弁してくれ」
先生が、いつもと違う声を出した。
瞳を見上げると、本当に困っているようで、思わず腕を離していた。
「……ごめん、なさい」
たとえば、もし、なにかあったとして。
そんなことないとどんなに思っていても、いざとなってわたしがとても怖がって、先生を受け入れられなかったとして。
そのときは、そこにどんな事実があろうとも、もしかしたら全部が先生のせいになってしまうのかもしれない。
「おやすみなさい……です」
わたしは、先生に恋をしたけど、先生に先生をやめてほしいと思っているわけじゃないのだ。
とぼとぼ、ベッドに戻ったのと同時か、その直前くらい。
わたしの体は、別の温もりにふわりと包まれていた。
「……っえ、せんせ、」
「千笑」
ふいうちで名前を、呼んでくれるなんてずるい。
「むこう向いてろ」
ささやかれたのといっしょに、クッション性のいいマットに沈められていた。



