やがて、ウール素材のマフラーがわたしの首から完全に抜け落ちた。
首元が少し汗ばんでいる。
寒空の下で冷えきっていたはずの体は、いつのまにかすっかり温まっていたみたいだ。
でもこれはきっと暖房のせいだけじゃない。
「コートは、どうする」
訊ねた先生の手を、思わずぎゅっと掴んだ。
「……脱ぐ、……脱ぎ、ます」
脱がせてほしいと言ったわけじゃない。
でも、先生にはそう聞こえたのかもしれない。
もしかしたら、無意識のうちに、わたしは、そう言ったのかもしれない。
先生の手がわたしのベージュのダッフルコートのボタンに伸びてきて、上からひとつずつ、ゆっくり、引っかかりを解いていく。
こんなことならもっと大人っぽいデザインのコートにすればよかった。
この下に隠している服も、色っぽいワンピースかなにかにしてこればよかった。
そう、先生が冷静でいられなくなってしまうような。
コートより、もっと、もっと先を欲しくなってしまうような。



