純情、恋情、にぶんのいち!




先生は、家から最寄りだという駅のロータリーに車をつけて、待っていてくれた。

学校以外の場所で本当に会えるとは思わなくて、助手席のドアに駆け寄るなり感激していると、デケエ声だすな、と一喝されてしまった。

電話で話してから、ここまで迎えにきてくれるまでのあいだに、どうやら眼鏡ありの先生と眼鏡なしの先生がスイッチしたらしい。


「の、乗ってもいいの、ですかっ」


自分でも恥ずかしいほど興奮しきった息が、白い水蒸気となって夜空に吸いこまれていく。


「ダメだって言っても乗るんだろ」

「はいっ」

「ハイじゃねえよ」


そう言いつつ、助手席のドアは伸びてきた先生の手によって開かれたのだった。

エアコンに暖められた車内のぬくい空気が頬を撫でる。

それに引っぱられるみたいに、体を滑り込ませると、いきなりむにぃと頬をつままれた。


「冷たいな」


ひとりごとみたいな音量でつぶやいて、先生の足はアクセルをゆっくりと踏んだ。


車に乗せられて、ほんの数分。

到着したのは、いかにも大人のひとり暮らしのにおいがする、小奇麗なマンションだった。

教師のお給料が気になるところである。