このあたりではちょっとした名物になっている、大規模なイルミネーションがある駅前の広場は、思ったよりもずっと混雑していた。
「……あれ」
上ばかり見て、色とりどりの光を眺めながら歩いているところに、隣のとーご先輩がなにか気づいたように声を出した。
「泰人と藤沢さんがいない」
「えっ!?」
「……あいつ、絶対わざとだ」
いつも爽やかな笑顔を見せてくれるばかりなのが、ヤス先輩のこととなると突然いろいろな表情に変わるから、こういうところにもふたりの歴史を感じてしまう。
「ほんと、ごめんね。おれとになっちゃったけど、いい?」
「えっ、あ、も……もちろんです!」
「ほんとさ、わざわざ4人で待ち合わせた意味ないよな」
眉毛を下げて笑う顔が、白い息でぼやける。
ぼやけた顔が、一瞬だけ、ぜんぜん違うはずなのに、先生の笑顔に見えてしまった。
「……せんせ、」
「え?」
「あっ……なんでも、ないです……」
わたしはいよいよ重症かもしれない。
そこにはいつもとなにも変わらない、とーご先輩の完璧な笑顔があって、心の底から恥ずかしくなった。



