まるで大きなスクリーンを見ているみたい。
冬の景色、寂しげなのにとても穏やかなこの空気に、とーご先輩はよく溶けこんだ。
“冬吾”という名前、生まれた季節が由来なのかな。
とーご先輩が感じさせてくれる冬はあまり寒々しくない。
あたたかい店内で、あたたかいカフェオレを飲んでいるせいかもしれない。
やがて電話を終えて戻ってきたとーご先輩が、目の前にすとんと腰かけて、笑った。
「ていうか、ごめんね、強引に連れてきちゃって」
「あ、いえ! あの、ここのほうがあったかいし、それにカフェオレまでご馳走になっちゃって……」
とーご先輩は口元だけで笑いながら、黙ってカップに口をつける。
不思議でたまらない。
いまこうして、こんなに素敵な人が、自分の目の前に座っていることが。
入学してすぐ、超かっこいい先輩がいる、と噂を耳にして、その人を実際に見かけたときの衝撃、いまでも鮮明に思い出せる。
世の中にこんなにキラキラした存在がいるんだ、とばかみたいなことを思ったんだ。いまも思っているけど。
文字通り、超ミーハーだったし、それでよかった。
キラキラしているとーご先輩を遠巻きに見て、キャーキャー勝手に騒いで。
それが、楽しかった、はずなのに。
「……ハチマキ」



