純情、恋情、にぶんのいち!




風にさわさわと揺れるカーテンの向こうから、みんなの歓声が聞こえる。

体育祭も無事終わり、現在、それぞれの応援団の解散式が執り行われている。

我らが白団は見事優勝することができた。
とーご先輩が男泣きしていて、わたしも泣きそうだった。

さーちゃんはやっぱりどこまでもシラけた目をしていた。


神田(かんだ)先生、きょうはもう帰られるから。チィちゃん、荷物持ってきてくれない?」


グラウンドにのみ聴覚を集中させていたところを、ユミちゃんに話しかけられた。


「……なんでわたしが」

「なにか言った?」

「……いーえっ! なーんにも!」


ただ保健委員というだけで、なんでわたしがカンちゃんのお世話しなくちゃならないわけ。

みんな、とーご先輩に「お疲れ様でした」を言っているのに。
わたしもとーご先輩としゃべりたいのに!

やっぱり、バカンちゃん!


「……はっ。これが、ひとを呪わば穴ふたつ、というやつ……?」


これだから先人の知恵というものは無下にできない。

手のひらを返したように、心のなかでカンちゃんに謝り倒し、もうこれ以上の災難に出会いませんように、と祈った。