純情、恋情、にぶんのいち!





来たるクリスマスイブ、集合は、駅前の大きなツリーの下で。

あまりに定番の待ち合わせ場所だからか、ものすごく混みあっていて、これじゃさーちゃんたちを見つけられそうもない。


「さむ……」


目の前をひっきりなしに行きかうのは仲良さげなカップルばかり。

あんまり寒くて、ひとりぼっちが寂しくて、もしも、の話をウッカリ妄想してしまう。


もしも、先生が教師じゃなかったら。
もしも、わたしが生徒じゃなかったら。

いまごろ、どこかで、ここで、ふたりで歩くことができていたのかもしれないなあ、

……なんて。


「ほんと、さっむいねー」


突然ふわりと降ってきたのは、絶対的に知らない声だった。

当然のようにわたしの隣に立ち、当然のように笑いかけてくるその人は、当然のようにわたしのマフラーに触れた。


「えっ……ええっ、」


隣どうし、すぐ傍で目が合う。
にこり、と微笑まれる。


「誰かと待ち合わせ?」

「いや……あの、ええと、」


ふわふわした黒髪の向こうの瞳は本当に親しげだった。


知り合い、だっけ?

でも、自分の記憶をどれだけ遡っても、この人のことが思い出せない。


「指先も鼻も真っ赤じゃん。あったかいところ行く?」


そう言いつつ、あんまり自然に手を握られたから、わけもわからないまま、思わずうなずいてしまいそうになった。