純情、恋情、にぶんのいち!




先生に化学を教えてもらうのははじめてだったけど、ものすごくわかりやすくて驚いた。


ふたりきりでいっしょに勉強なんて絶対どきどきして集中できない!
と、最初はイラン心配もしていたけれど。

教師のスイッチがオンになった先生は、魔法みたいにするする頭に入ってくるマンツーマンの授業をしてくれるから、わたしも邪心(?)を持つことなくまじめに勉強できた。


やっぱりヨウ先生は教師に向いている。

そんなえらそうなことを思ってしまった、貴重な2週間。


2学期の期末テストを受けるころには、吐く息が真っ白に染まるくらいに、うんと寒くなっていた。


「見て見てっ、先生!」

「よく頑張りましたね」


化学準備室に入るなり、落ち着きなくぴょんぴょん飛び跳ねたわたしに、眼鏡ありのヨウ先生が優しく微笑む。

きょうの3時間目に返ってきた、化学の期末考査。
スコアは驚愕の92点。

自分でも信じられないような、嘘みたいな点数で、カンちゃんにはカンニングをも疑われてしまった。


「先生のおかげです!」

「野村さんが頑張ったからですよ」


ストーブにじゅうぶん暖められた室内。

その端っこで、先生がわたしのマフラーを自然な動作でほどいていく。


いま目の前にいる先生は、化学を教えてくれていたときとは、ぜんぜん違う表情をしているように見えた。