「……先生のばか」
「バカはどっちだ」
首に腕を伸ばした。
先生は、拒否せず、静かに受け入れてくれた。
優しいような、冷たいような。
心を穏やかにしてくれるような、それでいて、ざわつかせるような。
先生の首筋は、不思議なにおいがする。
「……ヨウ先生」
「ん?」
「先生は、悪い教師ですね」
べり、といきなり体を引っぺがされた。
なんだかビミョーな顔を浮かべていらっしゃる。
だって、あんまりいじわるばかりをされるから、わたしも同じことをしてみたくなったんだ。
「誰のせいだと思ってる」
「わたしです」
「よくわかってんじゃねえか」
でも、ぜったい、先生のせいでもある。
「せんせい、好きです」
「もう聞いた」
「伝わるまで何回でも言います」
「開き直ってんのか」
「開き直ってます」
だって先生は、好きだとも言ってくれないけど、好きじゃないとも、言ってくれないから。



