「きみには、上杉くんや佐藤くんのような、同年代の素敵な男の子がすぐ傍にいるじゃないですか?」
「とーご先輩とか、ヤス先輩……は、ふたりも、たしかにかっこいいけど、先生はぜんぜんちがう、もっと特別なんです」
「いけませんね、駄々をこねるばかりでは、もう高校生なんですから。それでは主張がまったく伝わりません」
先生は、こっちの戦意を全部奪い取るような余裕の顔で、くすっと笑った。
「――では僕のほうも聞きますが、きみは、どちらの“先生”を好きになったんですか?」
一瞬だけでも言葉に詰まってしまったのは、その答えが見つからなかったからじゃない。
どっちか、なんて明白に答えられないほど
わたしは、ふたりの先生を、きっと同じくらい好きだから。
だけどその一瞬の間を拾うなり、それ以上は待たないで、先生はそっと目を伏せた。
胸がぎゅうっと痛くなる。
先生、これはわたしの妄想だけど、
もしかして、眼鏡のあるヨウ先生と、眼鏡のないヨウ先生と、
どちらか一方しか愛されなかったことが、ありますか。



