純情、恋情、にぶんのいち!



確実に、拒絶、されている。

ほんもののおばかさん、のわたしでも、こんな簡単なことくらいならわかってしまう。


「飲んだなら、もう帰りなさい」


どうして、こっちを見ないで、話をしようともしないで、追い出そうとするの。


「……先生、ずるい、です」

「大人になるにつれて、多かれ少なかれ、誰しもずるくなっていくんですよ」

「っ、そんなの知らない!」


こんなに声を上げているのに、一生懸命伝えようとしているのに、どうして、なんにも届いてくれないの。


「わたしは……子どもかもしれないけど、先生みたいに、ずるくはないよ」

「そう」

「どうしてこっち、見ようともしてくれないんですか……?」


ぜったいに泣いちゃダメだ。
ぜったいに泣きたくない。

これ以上、子どもに、なりたくない。


先生は長いため息をつき、それから、同じくらい長いまばたきをした。


「きのう言った台詞、野村さんは、卒業してからも言えますか?」

「え……?」

「どうせ一瞬の感情です。いえ、一過性のものどころか、単なる勘違いに過ぎないかもしれませんね」


わたしがきょう、なんの話をしに来たのか、先生は全部わかっていたし、きっとその先のことも、全部、全部、わかっているのだと思う。


でも、そんな御託をならべられたって、なにひとつわからない。

だってわたしは、ほんもののおばかさん、だから。


「……だったら、振ってくれたらいいじゃないですか」