自宅まで、車だと20分程度の時間だったけれど、今夜のわたしには何時間にも感じられた。
「……ありがとうございました。ごめんなさい」
「謝るなと言わなかったか?」
「う……はい、ごめんなさ、……あ」
先生がまたため息をつく。
そうして、ハンドルに右手だけを乗せると、左手はわたしの頭の上に置いた。
「おまえもう、あしたから化学準備室には来なくていいから」
「えっ……」
「しばらくのあいだはとりあえず、早く帰るようにしろ。いいな」
よくない。
ぜんぜん、よくない。
ぽんぽん、なだめるみたいに頭を撫でる手を掴み、そのまま両手で握りしめた。
「……や、です」
「野村」
「いやですっ!」
心配してくれているのはわかっている。
でも、あのヘンテコな告白の直後にそんなふうに言われてしまったら、拒絶されているようで悲しいのです、先生。
「……せんせい、嫌です……」
また、困らせてしまう。
面倒くさいやつだって、ますます鬱陶しがられてしまう。
それでも、さっき伝えた気持ちに嘘はなくて、もう自分ではどうにも誤魔化せないくらい、わたしはヨウ先生のことが好きなんだと思う。



