運転席は 牧志一夜のすぐ前 薄い衝立に隔てられた すぐそこ ヒトヨからは 運転手の顔が見えない バックミラーでも確認できない ヒトヨは長い間この時間のバスを利用している が バスの乗降時に運転手の顔を記憶する人はほとんどいないだろう ヒトヨも運転手の顔を知らない 運転手の名は 泊 永良 トマリ・ナガラ ナガラは 不穏な気配を 涼しく受け流している と ヒトヨからは そう感じられた