ある雪の降る夕方。



「何で、今日なの」

小さなピアスの欠片。
それを包んでいた、銀色の包み紙からは、ほんのりとミルクチョコレートの残り香。

あの日、タケルの連絡先が書かれていたそれには、もう見慣れてしまった、タケルの文字が並んでいた。


『少し早いけど、最後のホワイトデー。ありがとう。』


文字が歪む。
涙で文字が消えてしまう前に、あたしはその包みを抱きしめた。


「ふ・・・・・・っ」


溢れてくるのは涙だけじゃない。
言い表せない後悔と愛しさが、体の奥底から溢れて止まらない。


知っていた。
気付いていた。

少しずつすれ違ってしまったあたし達は、もう、戻れない所まで来てしまっていたことを。