ある雪の降る夕方。



家に帰って、部屋のドアを閉める。

ばたんと無機質な音が、今のあたしには丁度よかった。

ぐるぐると頭の中を駆け巡るのは、タケルと過ごした優しい日々ばかりで。
その度に苦しさに襲われて、もういっそこのままこの苦しさに全てを任せてしまいたいと思った。

鞄を床に置き、力のないままコートを脱ぐ。
コートをハンガーにかけようとしたが、その気力もなく、床にどさっと落とした。

その瞬間、コートのフードから何かがこぼれた。


「・・・・・・え?」


ころんと転がったその小さな包みは、いびつな形だったけど見覚えがある。

寒がりなあたしは、少しでも体を温めようと、その甘い欠片をよく口に含んでいた。