ある雪の降る夕方。


もう無理だと思ったのに。
あたし達は、戻れないところまで来てしまったと思っていたのに。


今この瞬間が永遠に続けばいいと、心の奥底であたしが叫んでいる。


あたしの腕がタケルの背中に回る前に、タケルの腕があたしの背中から離れた。

冬の冷たい空気が一気に背中を駆け巡る。


「・・・・・・じゃあな」


頭の上で、タケルが小さく呟いた。
その表情も、何も見えないまま、あたしはただタケルの足下を見つめる。

タケルのスニーカーのつま先が、あたしの方を向いていたつま先が、ゆっくりと砂利をふんで方向を変えた。


行かないで、なんて、あたしには言う権利はないのに。