ある雪の降る夕方。



「何が、いけなかったんだろうな」


泣くのを必死に堪えているあたしの代わりに、タケルが呟いた。
その優しい声を聞いて、ますます胸がつまる。

何もいけなくなんか、なかった。

好きな気持ちに、嘘なんてひとつもなかったはずなのに。


「・・・・・・香」


俯いたままのあたしを、タケルは優しく抱きしめた。

これが最後の包容になることも、あたしの名前を呼ぶ声を聞くことがこの先ないんだと言うことも、全部全部わかってた。


大好きなタケルの香水の香り。
お願いだから、一生忘れない様に体中に染み込んで。