「何が、いけなかったんだろうな」 泣くのを必死に堪えているあたしの代わりに、タケルが呟いた。 その優しい声を聞いて、ますます胸がつまる。 何もいけなくなんか、なかった。 好きな気持ちに、嘘なんてひとつもなかったはずなのに。 「・・・・・・香」 俯いたままのあたしを、タケルは優しく抱きしめた。 これが最後の包容になることも、あたしの名前を呼ぶ声を聞くことがこの先ないんだと言うことも、全部全部わかってた。 大好きなタケルの香水の香り。 お願いだから、一生忘れない様に体中に染み込んで。