がんっと頭をハンマーで殴られた様な衝撃があたしを襲った。
脳裏にあの頃のあたしが蘇る。
今よりずっと自信がなくて、俯いていて、タケルは憧れの存在だったあの頃。
変わりたかった。
タケルの隣に並んでも大丈夫な女の子になりたかった。
全部、タケルの側にいたかったからなのに。
なのに、何で。
「何でタケルが・・・・・・・それを言うの?」
堪えきれなくなった涙が頬を伝い、振り切る様にあたしはその場を駆けだした。
変わりたかった。
タケルの側にいれる女の子になりたかった。
他の男の子に好きだと言われても、可愛いと言われても、そんなの何の意味もない。
タケルに好きでいてもらえなきゃ、意味がない。
どこだかわからない校舎の裏に駆け込んで、なだれる様にその場にしゃがみ込んだ。
汗ばんだ手のひらが、足の膝が、砂で汚れてどうしようもない。
どうしようもない。
蝉の鳴き声が耳障りな高3の夏の日。
何を間違えたのかわからないまま、あたし達はゆっくりとすれ違っていった。
やがて夏が過ぎて秋が来て、あたし達は距離を置くことになった。
表向きは、受験に専念するため。
そして、秋が過ぎて冬が来る。
冬の今日まで、あたし達は会う事はなかった。



