世界が広がって行くって、きっとこんな感じ。 ロックなんだけど聴きずらくない音。 たったひとつの音で 心をわしづかみにされた……。 あたしの目線はボーカルでもベースでもドラムでもなく、彼。 彼だ。 「…っ………」 目が、合った気がした。 吸い込まれそうになるぐらい甘い瞳。 身のこなしも、いちいちがエロい。 まるで挑発されているみたいだ。 中山、奏弥。 あんた一体何者なの…? あたしの知ってる中山奏弥は、ここには居ない。 居るのは、あたしの心を掴んで離さない、中山奏弥。