「誰の名前?」

後ろから声を掛けられて振り返ると、

親友の結城郁人(ゆうき いくと)だ。

「遅いぞ、半分以上終わったじゃね-か。」

「ごめん、ごめん、菜々美が来たがらなくてさ。」

「あ、婚約者?来てんの?」

「うん、来週から復学するから教授に挨拶にきたはずなんだけど見なかった?」

「ってか、顔知らないからなあ。」

「また、逃げられたかな。」

こいつには、休学している彼女がいる。

最近婚約したとかで少し浮かれている。

「とりあえず、働けよ郁人。」

「おう、悪かったな。」