清春の方を見れば、眠たそうな顔で、もらったマフィンを1口食べているところだった。



……なんだろう。


胸のあたりが、もやもやする。


もやもやを自覚すると同時に、自分の口がへの字になっていくのもわかった。



なんかあたし、嫌な気分になってる?



どうしてだろ。


いままでも、こんな場面、何度もあった。


清春が女子にモテてるとこなんて、飽きるくらい見てきたのに。




初めて、面白くない気持ちになってる。




「なに? 凛も食べたいの?」




あたしがじっと、清春が食べるのを黙って見つめていたら、


清春が、食べかけのマフィンを差し出してきた。



すぐそばで、それをくれた女のコたちがいるっていうのに、あたしに食べろって?




「バカじゃないの!? 食べるわけないじゃん!」


「なに怒ってんの。……それで、日下と何話してたの?」


「別になにも!」


「凛」


「うるさいなあ! 清春は黙ってマフィン食べてなよ! そんで太ってしまえっ」