昨日の清春の態度。


けっこう、ピリピリしてた。



話さなきゃならないのかな。


まだあたしの中で、なんの整理もできていないんだけどな。



あたしの話を聞いたら、清春はどんな反応するのかな。


どんな風に、何を思うんだろう。




ぼんやり考えながら、深田くんと教室に向かったら。


教室の前で、隣りのクラスの女子に囲まれてる清春がいた。


何か手渡されてる。




「なにやってんだ、あいつ? おーい、清春!」




あたしが声をかけられず、立ち止まってそれを見ていると、


深田くんが廊下に響くくらい大きな声で、清春を呼んだ。



途端に女子たちが一斉に深田くんを見て、駆け寄ってくる。




「うわっ。なになに」


「深田くん、これ受け取って~」


「家庭科の授業でね、マフィン焼いたのぉ」


「食べて食べて!」




甘い、良い匂い。


そっか。清春もこれをもらってたんだ。