温かな風が
あたしの頬を
優しく撫でた。

もう、卒業シーズン。

別れを告げて、告げられて…。

だから、春は少し苦手。
心が、悲しいって叫ぶから。



「今日の理科、理科室だって〜」


ある男子がドアの方から
覗きながら叫んだ。

あたしは、
質問の返事が聞けるから
少し嬉しくて
軽い足取りで
理科室へと急いだ。