加藤くんに至っては、唖然としている。 何が起きたのか、分かっていないのか。 それとも、好きな人が自分だってことに気付いていないのか。 言ってしまったものは、しょうがない。 なかったことには出来ないから。 うちは誰かに何かを言われる前に、この場から立ち去った。 彼が追いかけて来るはずもないから、ゆっくりと帰り支度をして、会社を出た。 丁度、定時を過ぎていたから。