拓夢は初めて会った時から不思議だった。 仕事終わりの金曜日は、この極上のカクテルを飲むために少しだけ寄り道をする。それがいつからかの習慣だった。 出版社に勤めてて年は27才。アラサーに入るか入らないかぐらいの年齢。恋人の席は空白。 好きなものは、マスターのカクテルと休日の午後に街のカフェでの読書。 色恋沙汰とは、しばらく距離を置いていた。