「ねえ、瑠李さん…」
そこに響くあたしの携帯の着信音。身体の緊張が解け、一瞬で拓夢から距離をとる。
「ちょ…メール来たから…」
受信BOXを開き、新着メールに目を通す。
「『近くのバーで待っているよ、ギムレットでも飲みながら』」
「きゃっ!?ちょっと、拓夢、勝手に人のメール…」
腕を掴まれ、壁に押し付けられる。
「ねえ、瑠李さん、可愛らしい小鳥から選択肢をあげるよ。ギムレットを飲むお供は小鳥と涎を垂らした狼、どちらにする?」
あるようでない選択肢。こんな質問、答えは《はい》か《yes》を求められてるようなものだ。
「ちなみに小鳥はどちらなのかしら?」
「それは答えとして聞くからね」
噛み付かれるようなキスを受け止めながら、どこが小鳥よとため息をついた。

