逃げて、とあたしの頭は指令を送るのに、身体は全く言うことを聞いてくれない。
「ねえ、甘い蜜欲しさに頑張ってた小鳥にあの仕打ちはないんじゃない」
いつもは甘さを漂わせる瞳もちらちらと怒りの色を浮かべていた。
「たく…む…」
「瑠李さんにとってはまだ子供?きっと瑠李さんは何とも思っていないだろうけどそろそろ好きでいていい許可くれてもいいんじゃないかな」
「…くに…るわよ」
「え?」
ねえ、マスター。素直になれって言ったのマスターよ。これで、もし失敗したら、当面奢ってもらうからね。
「とっくにあげてるわよ、そんな許可!なによ、人のこと乱すだけ乱しといていきなりお店来なくなっちゃって!なにも教えてくれないなんて言ってるけれど教えてくれないのはそっちも同じじゃない!!あたしがどれだけ…最近なや…んでた…」
前言撤回。今恥ずかしさで死にそうだから、当面どころじゃなく未来永劫奢りよ。

