「俺が頼んだのもあったんだけどね」


拓夢の瞳があたしを捉えた。そして熱が頭から足の指先までじんじんと広がり続ける。



「初めて瑠李さんが来なかった金曜日…まあ俺も行けなかったんだけど。その日兄貴が持ってた企画書の相手の企業の担当者のところを俺がたまたま見て『この企画俺にやらせてくれ』って頼み込んだんだ」

「担当者…のところ?」

「‘立花瑠李’」



死んでしまうんじゃないかってぐらいの震えが心臓にはしる。


「るいって名前でこんな字珍しいし、頼み込んだかいあって勝ち取った企画。全力でやって、顔合わせの時、瑠李さんを驚かせてやろうって思った」



逃げなきゃ。

拓夢の瞳があたしを‘捕える’前に。