話のテンポが、声の熱が、甘い視線が…あたしの、あたしだけのテリトリーにカチリとはまる。



『瑠李さん』



拓夢が呼ぶ瑠李は自分の名前な筈なのに、ひどくあたしを戸惑わせる。



こんなの、瑠李らしくない。しっかりしなさい、瑠李!と自分を叱咤しても駄目。



完全に拓夢の何かに捕まった。


「…逃げなきゃ」

「え?」

「捕まる前に」