「あたし、恋人は作ったりしてたけど、あたしの誕生日とかクリスマス、バレンタインデーみたいなイベントにはフリーでいたの」

「なんで?恋人たちのイベントじゃん」


拓夢は端麗な眉をひそめて、不思議そうな顔をする。

当たり前の反応。友人たちに言っても同じ反応をされた。


「縛り付けられたくないの、わざわざ、なんとかの日だからなんとかしよ、とか。友達とディナーとかマスターのカクテル呑んでる方が幸せ」

「じゃあ、今まで一度も?」

「そ、一度も」



カクテルの甘みが口に広がって、目もとが潤む。