苦い主流煙は身体を一気に毒した。


「喫煙の喫って口の契りって書くのよね」

「俺は煙越しより、もっと深く契り合いたいけどね」

「あら、シガレット味のキスはお断りなの」


そう言い捨て、席を立つ。身体には煙草の匂いは勿論のこと、浩介の香水まで染み付いていた。


別に、あたしは構わない。

これからマスターのカクテルを飲んで、家に帰ったらあったかいバスタイムが待ってる。

仕事柄、煙草と香水の匂いには慣れているし。


前のあたしだったら気にしなかっただろうけど、今から会う小鳥がうるさくなるのは間違いなかった。