〖ガラスの温かさ〗

「あ・・・倖─・・・っ!?」
「倖はどこっ!?」

現実に引き戻され、倖の名前を口にする。


「お願い倖に逢わせて!」
「倖はどこなの・・・っ!?」


体が独りでに動く。

でもその体を覆う様にきつく閉める腕。


─“御神 恵介″─


「倖ちゃんは大丈夫です・・・」
「今は緊急入院室で治療を受けてます」

「はぁ・・・はぁ・・・」


御神さんは私の背中を何度か撫でた。

私の興奮も収まり倖の部屋に移動。
移動までの間、私の胸は張り裂けそうだった。



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ガラッっとドアが開く。

そこにはぐったりと寝る倖の姿。


「・・・・・っ!?倖ー・・・っ!」

「ママ・・・?」

「そうよ!倖、大丈夫?」
「ママがすぐに治してあげるからね・・・」


私は倖の手をぎゅっときつく握った。

この手をもう放したくないとも思えた。
そんな倖の手は、冷たかった。

何でこの子なの・・・?
如何して倖なの・・・?
神様・・・倖を助けて・・・!



「ママ・・・?」

「・・・・・ん?」

「倖、大丈夫だよ・・・?」

たぶん倖は、自分の病気の重さを
知らないだけなんだけど、それでも
その言葉に今の私はどれだけ救われたか─・・・。