「滝山クン!今日付き合って!」

「ダメだよ!ウチが先なんだから。ね?滝山クン!」


放課後。

いつものように、クラスの女の子に囲まれる。

この子達も大事だけど、もっとスペシャルな用事があるんだ。


「ゴメン、また今度!」

「ええ~っ!?」

大ブーイングをスルーして、オレはさっさとバックを肩にひっかけた。

「じゃね!」


ダッシュで教室を出て

隣のクラスをチラ見して

階段をひとつ飛ばしで駆け下り

ゲタバコに上履きをブチ込み

ブン投げたスニーカーに履き替える。


「あっ、滝山くん、今日…」

「ゴメン!用事ある!ムリ!」


誰だか分かんないけど、振り返る時間さえもったいないんだ。

「えっ、ちょっと…」という声も聞こえないフリで、校庭に駆け出した。