「嘉、最近優しーな。」 「え?」 「ホラ、今も!前だったら“何ソレ。”とか言ってたしな!なぁ、蓮?」 「……。」 蓮が頷いた。 …優しく、なったのかな。 それはきっと未也美さんのおかげだ。 『もしもし、嘉?』 「こんにちは、未也美さん。」 すっかり日課になった未也美さんと電話している時間が、すごく楽しかった。 けれど、幸せは実がつくとすぐに消えてしまうもので。 『嘉、あなた、新倉グループの跡取り、なの……?』 「え…?」