「蓮、ちょっと行ってくる。」 「……は?」 説明もせずに、すぐに城を飛び出した。 早く、未也美さんのところに行きたかった。 「未也美さんっ、」 「……嘉…っ、」 目を真っ赤にした未也美さんは、道端でうずくまっていた。 「な、ナナっていうの…」 その足元には、拾ったばかりだと話していた、ネコ。 「死に、かけてるわよね……」 初めて見た、未也美さんの涙だった。