携帯も敵も上手く撒いて、城も安全だったと。


もう戻ってきても大丈夫だと聞いて、不思議なほど体の力が抜けた。





「ごめん、蓮…。俺、逃げて…。」

『んな話しは聞かねえ。さっさと戻ってこいよ。』




ありがとう、と心の底から言って電話を切った。





「嘉、帰るのね。」

「ああ、はい。」

「じゃあ、わたしも帰ろうかな。」



最初の笑顔のような作り物のそれを浮かべて未也美さんも立ち上がる。




「嘉、ヒマなときは連絡してもいい?」

「……構いませんよ。」




きっと連絡をとることはないんだろうな、と思いながらも了承する。




しばらくして、未也美さんは暗い夜の公園から姿を消した。