未也美さんはふわりと微笑んで。



「アドレス、交換してくれる?」

「は?」




フレアスカートのポケットから真っ白の携帯を取り出してたどたどしく操作する。



「ね、お願い。」

「……わかりました。」




ここで会ったのも何かの縁でしょう?と言った未也美さんの笑顔につられて、頷いた。




「ふふ、これでわたしのアドレス帳が10件になったわ。」

「10件、ですか。」

「ええ。嘉は記念すべき10件目よ!」




屈託なく笑う未也美さんが、ひどく眩しかった。




きっとこの人は、小さな鳥かごの中にいる。


――俺は耐えられなかった、鳥かごの中。





そのとき、電子音と一緒に携帯が震えた。




「……蓮!」

『嘉、いまどこだ?』