未也美さんは不自然なくらい饒舌だった。




昨晩見たらしいテレビのことを事細かに話して聞かせたり。


飼ってる犬がどれだけ甘えん坊で可愛いかを話したり。




「それでね、丈太郎が――」



犬の名前が“丈太郎”というところに笑いそうになったけど、特に何も言わずに話しを聞いた。





「お祖父様が拾っていらしたの。最初はひどく怯えていてね…」



話しているうちに、口調が変わっていく。


その口調は、俺が思ったとおり。社交界で出会う女性と同じ。



それも、代々名家のお嬢様のそれだ。




「だけど今はそんなに懐いているの。すごいでしょう?」

「ええ。」

「嘉、携帯が気になるのね。」



パカパカと携帯を触っていればそれは一目瞭然。