「そう警戒しないでよ。わたし、無力ですから。」 「……嘉です。」 「嘉ね、どうしてここに一人で?」 「貴女こそ。」 一人なのは彼女も同じ。 夜の海辺の公園に一人。 俺みたいな人間だったらありがちだけど、未也美さんの出で立ちはたった今まで人といました、って言われても不思議じゃなかった。 「わたしは……なんとなくですよ。」 ふわりと笑う未也美さんの顔を見て、きっとこの人は俺と同じ側の人間だろうな、って思った。