華〜ハナ〜Ⅲ【完結】





そこに立ってたのが、未也美さん。


白いシャツにフレアスカートという上品さを形にしたような出で立ちだった。





「ゴミ、蹴っちゃダメですよ。」

「……」




今度は諭すような口調に変わって、しっかりと視線を合わせて言った未也美さん。



おかしな人だな、というのが第一印象だった。




だって、初対面の人にそんなふうに声を掛けるなんて、どう考えても普通じゃない。





「……誰ですか。」

「わたしですか?」



当然の事を尋ねた俺に、未也美さんは素っ頓狂な声を上げた。


他に誰に聞くんだ、と思う。




「わたし、未也美っていいます。貴方は?」

「……。」




答えなきゃ、いけないのか。


初めて、しかも公園なんかで会った人にそんな無用心に名前を教えていいものか。


未也美さんに自分から尋ねておきながらそんなことを思った。